■航空母艦 |
航空母艦とは、航空機及びスクワイエル(以下“艦載機”)を主要兵器として搭載し、この母艦として運用される軍艦のことである。一般には省略された“空母”の名で知られている。
空母という艦種の発生は近年であり、どの国も運用及び建造の経験が浅く、いまだに試行錯誤を続けているのが現状である。
しかし、搭載機の急激な高性能化によって戦場における制空権の確保が重要となり、戦艦に準ずる有力艦艇として各国で建造が行われる事となった。
フェール条約成立の結果、空母も戦艦と同様に新規建造が禁止されている。
■航空母艦 |
CARRIER SHIP/CV |
航空母艦とは、自艦が搭載する多数の艦載機によって会敵前の索敵及び会敵後の自軍宙域の制宙権確保と敵部隊に対して遠距離から航空攻撃を行う軍艦である。
E.G.1000年代以前の艦載機は、技術的な限界から低い性能しか有していなかったこともあり艦隊戦において索敵任務以外に使用することは困難であった。
このため各国は索敵用として巡洋艦以上の艦船に少数の搭載機を搭載するだけで事足りていたのだが、E.G.1010年代に入ると技術的な進歩により艦載機はそれなりの対艦攻撃力を有するようになる。
その結果、多数の艦載機を組織的に運用することで艦船に対して十分な打撃を与えることが可能ではないかと考えられ始めたことから、各国は艦載機の性能向上を計る一方、艦艇における搭載数の向上に努めるようになった。
こうして艦載機を運用する専門の母艦としての航空母艦が建造されたのである。
「デュミナス戦役」において初めて対艦攻撃任務に使用された空母は、搭載機という拡張性に優れた兵器によって多大な戦果を挙げることに成功した。
特に、防御力に劣る巡洋艦以下の小艦艇に対しての攻撃はきわめて有効であり、戦場における制宙権の奪取は戦局に致命的なまでの影響を与える事が理解された。
そのため空母は有力各国で精力的な建造が行われる事となり、第二次星系大戦では多数の空母が投入された。しかし、大戦の終結とともにフェール条約が結ばれたため、それ以降新たな空母の建造は行われていない。
余談だが、空母重視論者の間では近い将来「戦艦は空母によって撃沈されるようになる」と考えているものが多い。
これは、戦場で示した空母の活躍から考えてあながち見当はずれなものとは言えないが、現在に置いてもなお航空機による戦艦の単独撃沈は発生しておらず、兵器体系を戦艦を重視した大艦巨砲主義から空母中心の航空主兵主義に変えるところまで発展していない。
なぜなら、大規模航空戦が行われた「デュミナス戦役」の勃発から「第二次星系大戦」の終了までの間には艦載機による戦艦等の大型艦艇を撃沈した例が存在するのだが、これらはあくまでも艦隊決戦中の砲撃戦で損傷し落伍した艦に対しての攻撃によって発生したものであって、艦載機のみで無傷の大型艦船の撃沈を行った例は現在でも存在していないためである。
しかし、これによって艦隊における空母の有効性が薄れるわけではなく、現在ではエアカバーのない大規模会戦は考えられないためため、有力各国は戦艦に次ぐ有力な艦艇として空母を扱っている。
現在就役している著名な空母は、星系各国のなかでも最も搭載機の多いデトロワの〈イェルムン〉級が挙げられる。
■航空戦艦 |
BATTLE CARRIER/BV |
戦艦の火力と空母の艦載機搭載能力を兼ね備えた大型汎用艦として建造された軍艦。多数の艦載機を搭載した戦艦、あるいは砲撃戦の可能な空母という事もできる。現在のところこれに含まれるのはアマティスが保有する〈グレイジャス〉級だけである。
「デュミナス戦役」の戦訓から艦隊戦時における制宙権の確保が必要不可欠であることが示されたことにより、宇宙軍は空母抜きで作戦を立てることが困難となってしまった。
そうした結果、広大な領域の哨戒のために単艦行動を取ることの多いアマティスでは、“一隻で二隻分の働きが出来る”汎用性の高い軍艦を建造し、単艦での作戦能力の強化を計るべく航空戦艦を建造したのである。
航空戦艦の長所は、戦艦と空母のどちらの能力もそれなりのものを持っているということにある。逆に言えば、本格的な戦艦との砲撃戦や、空母との純粋な航空戦においては専門化した艦に敵わないということでもあり、そこが欠点でもあった。
しかも、〈グレイジャス〉級が初めて投入された「第二次星系大戦」において砲撃戦中における艦載機の発着艦が(母艦が回避運動中であることから)事実上不可能であるため艦載機の持続的な反復攻撃は困難とならざるを得ず、航空戦艦の運用には細心の注意が必要だという事があらためて認識されることとなった。
このため、現在でもアマティス以外の列強各国は航空戦艦の建造に対して二の足を踏んでいる状況にある。
■航空巡洋艦 |
CARRIER CURISER/FC |
巡洋艦と空母の特徴を兼ねた軍艦。小型の航空戦艦という見方もできる。
比較的威力のある砲撃力と編隊運用を可能とするだけの艦載機を搭載した航空巡洋艦は、単艦でひとつの戦闘システムを構築出来るため、単独行動時に高い適応性を持っている。
しかし、複数の艦種で役割を分担して戦う艦隊戦において、航空巡洋艦は性能が中途半端であるために明確な運用方針が定まらず、有力な戦力となりにくい。
このため、航空巡洋艦は、単艦(もしくは少数)で使用され航空機運用能力を必要とし砲撃戦が発生する可能性が高い、索敵ピケット艦や前線航空統制艦、あるいは小部隊の旗艦兼航空直衛艦として運用される事が多い。
現在この種の軍艦の建造に熱心なのはアマティスであるが、同国では航空巡洋艦と呼ばずに軽巡や重巡に分類して建造している。
図はデュミナスの〈アムレード〉級航空母艦で、同級は建造に当たって航空巡洋艦として艤装が行われた事から例として挙げた(デュミナス戦役後に改装され、現在は通常の空母となっている)。