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デュミナス王国 王立軍
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新興勢力であるデュミナス王国。それを支える軍事力がデュミナス王立軍である。
ここでは王立軍についての解説を行う。
デュミナス王立軍はデュミナスの独立と同時に設立された軍隊である。
一般にデュミナス王国軍として知られる同軍は、植民惑星時代にデュミナス星の防衛を担当していたアマティスの“デュミナス派遣軍”を基幹として再編・建軍された。
元々デュミナス派遣軍は屯田部隊としての性格が強く兵員のほとんどがデュミナス人で構成されていたこともあり、軍権の移行はスムーズに行われている。もちろんこれには経済的に自立可能になった事による平和利の独立であったことも大きかった。
こういった歴史背景から、現在もデュミナスの主要な武器規格はアマティス軍に準じるものが多く使われている。また、同国との共同訓練も多い。
一般にデュミナス王国軍として知られる同軍隊は、宇宙軍と地上軍の二つの軍によって構成されている。このうち前者は領宙内の防衛を、後者は惑星大気圏内の防衛を担当している。
このうち、多数の艦艇・艦載機を有する宇宙軍はデュミナスを防衛する実質的な戦力と言ってよく、デュミナス王立軍と言えばデュミナス宇宙軍のことを指すといっても過言ではない。
一方地上軍はデュミナスが完全な単一惑星国家であるため国境警備といった任務がなく、事実上の武装警備隊となっている。そのため、部隊の多くは比較的軽武装かつ小規模な部隊で編成されている。例外は衛星軌道の防衛に当たる衛星守備師団で、この部隊は本星防衛のためのきわめて強力な火力が与えられている。
デュミナス王立宇宙軍(DRF)はデュミナス王国の独立と同時に設立された軍隊である。
建軍に当たって中核となったのはデュミナス独立まで同地に駐留しデュミナス星の防衛に当たっていたデュミナス派遣艦隊であった。 もっとも、この艦隊は屯田兵的な性質が強く、“派遣”の名を冠していたものの、兵員の大半はデュミナスの住人で構成されており実質的なデュミナス防衛隊であったた。
注:基本的に惑星連合は連合所属惑星(一つの惑星に複数の州がある場合は所属州)の惑星政府(あるいは州政府)が独自の軍隊(星軍、あるいは州軍)を保有する権利を与えている。しかし、デュミナスは希有な例外で、実質的な独自軍といえる防衛部隊にわざわざ「派遣艦隊」の名を与えていた。
実質的にはデュミナス独自軍であるが政治的にはあくまでアマティス所属の正規部隊──このような政策が採られた背景にはデュミナスがデトロワ連邦とアマティス本星の間に位置するたった一つの有人惑星であるという地政学的な原因が大きく作用していた。当時のデュミナス星はアマティス本星防衛のためにどうしても有しておかなければならない最前線の重要拠点だったためである。
王立宇宙軍は他国と比べて一般に兵員の練度が高く、特徴的な艦船を多く有しているため、星系でも有力な部隊となっている。ただし、その絶対数は少なく、長期戦に向いたものとはなっていない。
デュミナスの主要仮想敵国は、当然ながらデトロワ連邦である。
建軍の基礎となったデュミナス派遣艦隊は元々開拓民の保護を目的に編成されていたこともあり、同部隊は本国艦隊の到着まで外敵の攻撃から守るため、早期防衛を重視していた。元々前身であったデュミナス派遣艦隊の主目的がデトロワ連邦からの防衛であったことも大きく作用しているが、独立したことで惑星の地政学的位置が変化するわけもないという現実からデュミナスの取りうる戦略的傾向は変わらなかったという理由が一番大きい。
こうして対デトロワ戦を念頭に整備されることになったデュミナス軍ではあったが、絶対的戦力量で劣る以上、強力な戦力を有するデトロワと長期戦に陥ることはなんとしても避けなければならなかった。
そのためデュミナスでは、開戦と同時に集結前のデトロワ艦隊に攻撃を敢行して敵の出鼻をくじき、戦略的優位を獲得している間に他国からの講和を斡旋してもらうという短期決戦を想定していた。当然、この時の講和斡旋国は旧宗主国のアマティスである。
この方針から、外交的にはアマティスとの友好関係を維持する努力が進められる一方、純軍事的には来寇してくる敵艦隊の各個撃破と暫減邀撃に主軸をおいて作戦が立案された。
立案された防衛計画の筋書きは前後二段に分かれていた。
第一段作戦では、開戦と同時に空母機動部隊をデトロワ本土奥深くに出撃させ敵主力であるデトロワ本国艦隊の後方を撹乱しつつ時間を稼ぎ、その間に最もデュミナス近傍に位置するトノスの惑星駐留部隊を主力をもって殲滅する。
第二段作戦では、次いで来襲してくるデトロワ本国艦隊を機動力のある小部隊による一撃離脱の襲撃隊を順次に繰り出して敵主力艦隊の分散を謀り、そこに主力部隊を突入させ壊滅させるというものであった。
つまりは、徹頭徹尾イニシアティヴを握ることで来寇部隊をかき回し、本土決戦前に敵艦隊を撃退することが重視されていたのである。
こうしたきわめて攻撃的な防衛計画の流れを受けて、デュミナスでは独特な艦艇の設計・建造を進めている。
基本的には“個艦優越主義”をとることにより数の差を質で補う事に重点を置いており、そのためデュミナス艦艇は他国の同級艦と比べると一回り大きいものが多く、潜在的なキャパシティが大きい。特に、船体が大きいことによる高い耐久度は長時間の戦闘において高い生存性を生んでいる。
しかし、搭載武装等は他国と同程度であるため、単位時間当たりの戦闘能力はそれほど差がない。
デュミナス艦の最大の特徴は、その長大な航続力にある。本星以外に居住地が存在しないにもかかわらず、そのような性能が与えられているのは、ひとえにデュミナスの防衛方針が外領宙域における長期作戦を念頭に置いているためである。
一方、その搭載武装は、国力的な限界から独自に兵器を開発できないため、ほとんどがアマティスのライセンス生産品となっている。
特に、軍用レーザーにおける収束技術はそれほど高くないため、オリジナルのものより射程・命中精度で劣るといった欠点を抱えている。このため、戦闘時の主要攻撃手段となる艦載レーザー砲の性能で不利となっている。
逆に、ソフトウェアに関しては非常に高いプログラムの開発に成功しているため、ミサイルを初めとする誘導兵器は逆にオリジナルより高い性能を示している。
つまり、デュミナス艦隊は他国と比べて中・近距離において高い戦闘能力を示す近接型の部隊整備を行っているのである。なお、デュミナス軍は主砲の必殺距離まで詰めるために敵艦隊の接敵直前で一斉にアサルト・ドローンによる先制飽和攻撃を行い、敵艦隊が混乱した隙に全軍挙げて突入し殲滅することとされている。
また、このときの中・近距離においての壮絶な撃ち合いに勝つために、徹底的な多胴船体方式の採用によるダメージ・コントロール能力の強化をも含んだ防御力の強化も行っている。デュミナス艦が概して耐久が高いのはこのためなのである。
この結果、対艦戦では非常に高い戦闘能力を持つに至ったデュミナス艦艇であるが、反面、建造・整備に高い技術力が必要であることや、惑星降下作戦のような空気の存在する場所では(多胴船体方式を採用した事による空気抵抗を無視した形態から)大きく戦闘力が削がれるといった問題も抱えることとなった。
しかし、宇宙空間での作戦しか念頭に置いていないデュミナスでは大気中における性能を重視しておらず、さして問題とされていない。
建国してから日の浅いこともあり、デュミナス軍は十分な兵力を有していない。そのため、兵力的には一枚看板とならざるを得ず、十分な予備戦力を有しない。
結果として、正面戦力の充実には非常に力が注がれているものの、直接戦闘に参加しない補助艦船には整備上の優先度が低くなっている。
とはいえ、拠点防衛(時間稼ぎ)の観点から宙雷敷設艦や掃宙艇に対しては重視されており、それなりの数が整備されている。
なお、デュミナスでは(多の小国とは同様に)宙雷艇の大規模な製造を行っていない。一応保有はしているが、それらは警備や哨戒以外の任務に就くことはほとんどない。これは本星近傍での戦闘を重視していないことをよく表している。
宇宙軍の実戦部隊は大きく分けて二つに分けられる。一つが本星警備を担当する防衛艦隊であり、もう一つが領域警護・防衛を担当する機動艦隊である。
将官 | 元帥 | グラン・アドミラル | 名誉職 |
大将 | アドミラル | 統合軍令部長・統合作戦本部長・宇宙艦隊司令長官・方面艦隊司令長官 | |
中将 | バイス・アドミラル | (方面)艦隊司令長官・宇宙艦隊司令長官 | |
少将 | リーア・アドミラル | 分艦隊司令 | |
准将 | マーシャル | 戦隊司令 | |
佐官 |
大佐 |
キャプテン | 戦艦・空母艦長 |
中佐 | コマンダー | 巡洋艦・駆逐艦艦長・航空隊司令 | |
少佐 | ルテナントコマンダー | 駆逐艦艦長・航空隊編隊長 | |
尉官 | 大尉 | ルテナント | 艦内分隊長・航空大隊長 |
中尉 | ファースト・ルテナント | 艦内班長・航空中隊長 | |
少尉 | セカンド・ルテナント | 航空小隊長 | |
準士官 / 下士官 | 先任曹長 | オフィサー | 航空小隊副隊長 |
一等曹長 | |||
二等曹長 | |||
三等曹長 | |||
軍曹 | サージェント | ||
一等軍曹 | ファースト・サージェント | ||
二等軍曹 | |||
三等軍曹 | |||
兵 | 伍長 | コーポラル | 兵長の事 |
一等兵 | |||
二等兵 | |||
三等兵 |
デュミナス軍における階級はかつての宗主国であるアマティスと同じく上は元帥から下は三等兵までの23種類が置かれている。
これは、デュミナス軍の成立を考えればある意味当然とも言える。
現在における階級の最高位は統合軍令部長に着いている大将だが、同地位に着いている間は暫定的に与えられる物であり、実質的な最高位は中将となっている。
デュミナス軍は元々大艦隊を保持しているわけではないので、煩雑さを避けるために階級の整理をしようという動きがいくどもあったのだが、そのたびに内外の影響を受けて延び延びとされてきた。
現在はフィール条約の締結による軍縮化の影響もあり、下士官以下を大幅に再編する計画が立てられている。
*フェール条約*
星系大戦の終結によって開催された、講和及び平和・軍縮会議。開催地はデュミナスの首都、フェール。一般には「フェール平和条約」として知られる。
当初は流産したデュミナス戦役の講和会議と同様に「再びレジナン宙域で行えば」との案もあったのだが、前回の襲撃事件に対する防衛上の反省から惑星上の都市で行うこととなった。